思うままに

そんなアップルストア1位って甘くないから。

伸びをしていた背中は中途半端な位置で静止する。

山口くん、甘いよ。
そんな簡単にとれちゃうなら、みんなとれてるよ。

P「第一、なんでせっかくいただいたレビューに書かれたことを真摯に受け止めて直そうとしない？

少なからず、アップルストアで上位10位にいつも入り込んでるプロデューサーの方々のご指摘をもらって、なぜ突っぱねて、中途半端な状態で出すの？

調子乗りすぎだよ。」

わずか、10秒にも満たない叱咤で一気に体の体温が1度くらい下がったのを感じた。

バツが悪くなり、下をうつむく。これは僕の悪い癖だ。

「いや、だって……

いつもこういうときは、言い訳を考えようと思考回路が瞬発的に動く。
これまた悪い癖。

正直なことをいえば、全くアイコンは納得していなかった。
なんか、違う。何が違うかはわからないけど、ごちゃごちゃしてるし、あんまインパクトないし、
LINEをつかったアプリということもよくわからない。

でも、もうこれ以上どうすればいいですか？

限界ってありますよ。

P「一回原点に立ち返って考えてみたら」

原点……

たぶん、プロデューサーの方がおっしゃっていた原点とは自分が最初にこうしたいと思ったイメージのこと。

あらゆるものを考えていたというのは嘘だった。

いかに、開発Pにオッケーっていってもらえるか。
それだけを考え、アイコンを考えていた。

でも、もっとわがままに自分のイメージでつくってもいいんじゃないか。

一回、今の思考回路をゼロにしよう。

人に気に入ってもらえるアイコンじゃない。

自分が納得のいくアイコン。

そして、自分が見てこれはと使いたくなるアイコンを考え直そう。


＊会話の中身を診断するんだから、吹き出しみたいなイメージをいれたい。

＊このアプリは、好きな子との関係をしりたい人向けのアプリだから、ハートははずせない。

＊ラインであるってことをもっと強調しよう。色で分かるかな？色の著作権は、、、どうやらセーフだ。

＊そして、アイコンサイズで見た時に分かるものじゃないといけない。シンプルに

ハート、吹きだし、そして緑

一弾目は、ハートに囲まれた吹き出し

二弾目は、ハートの中にあらゆる吹き出しがかこまれたもの。

三段目は、二つの吹き出しをハートで結んだもの。

ハート、吹き出し。このしばりをはずさず、あらゆる可能なデザインを考えてみる。

納得いくまで、ひたすらにこれだけ三時間。たしか、20個くらい考えていた。

ようやく、ハートに吹き出しをつけたシンプルなデザインへとたどり着く。

でも、なんかかっこわるい。なんでだろう。

Google先生を使って１時間。

その中で、ツイッター、アップルのアイコンを見つける。

Twitterの新ロゴデザインが美しすぎて調べてみたら、黄金比で構成されてた。

黄金比。。。。

シンプルなデザインの中にしっかり計算がほどこされていた。

三時間後、
ハートの大きさと吹き出し部分を黄金比に設計できる形で、デザイナーさんに依頼する。

今までのアイコンの修正から一転して、まるっきり違うデザインを持っていったから
最初はため息をつかれるだろうと思っていたが、

「了解しました。作ってみます」

快く引き受けてくれた。

苦しくも、黄金比の設計方法をしらなかったために吹き出し部分を適当な1:1.61（黄金比率）で
設計すると、思うような綺麗な形にならず、いいあんばいに形を整えて完成させてしまったのは
またまた自分の妥協点であったが、

恐る恐る開発Pにみせるとなんなくokがでた。

よかったーーー。

デバック担当のプロデューサーの関門もクリアし、デバック作業もそのあとしっかりやった。


P「よし、だしますか」

いよいよ、アプリが世の中へ飛び出すときが来た。